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おすすめの本「長いお別れ」レイモンド.チャンドラー

今となっては信じ難いことだけど、かつてはハイジャックまでして北朝鮮に渡った若者がいました。


彼等の名は「日本赤軍」。
その事件は「よど号ハイジャック事件」。
そして彼等はその声明文の最後をこう締めくくったのです。
「我々は『あしたのジョー』である」
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これが何を意味するかと言うと、彼等「日本赤軍」は共産主義を標榜し北朝鮮に「楽園」を見いだしていたのだけれど、そのモチベーションの原点は「梶原一騎主義」だったということです。
すなわち、ある世代の「男」にとって、ある行動およびある決断を決定する美学のひな形として梶原一騎が作り出したキャラクター、矢吹丈、力石徹(あしたのジョー)、星飛雄馬、花形満(巨人の星)、伊達直人(タイガーマスク)があることは否めない事実なのです。
そしてかなり乱暴ですが、梶原作品の「男性(おとこせい)」の根っこにあるのが本作「長いお別れ」をはじめとするチャンドラー作品ではないかと思います。
僕はこないだ「ダンディ 」というミもフタもない役名をやらしてもらいましたが、「ダンディズム」とは決して人にさとられないナルシズムだといいます。
人にさとられないように頑張っているのがかっこいいのです。
たとえば、チャンドラー作品のなかで「男はタフでなければ行きていけない、優しくなければ行きていく資格がない」という名セリフのある「プレイバック」という作品は評価が低いのです。
なぜならば、これは口に出してはいけないセリフだからなのです。
そう言いたくてもそう言わず、本作のように「ギムレットにはまだはやい」と言うべきなのです。
と、いうわけで僕は「男」の「最終兵器」レイモンド.チャンドラーの代表作「長いお別れ」を強くオススメします。
30すぎたらこれしかありません。
ついでに松田優作が「探偵物語」の役作りで強く意識
したといわれるエリオット.グールド主演の映画版「ザ.ロング.グッバイ」もいいです。
蛇足ですが本作を日本人向けにコピーしただけで直木賞を受賞した原寮の「私が殺した少女」は実はミステリとしては本作より面白いです。
(おがい)

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