おすすめの本「告白」町田 康
これは毒です。
毒と言っても「どくいり、たべたらしぬで」級ではなく、「パジャマで学校へ行ってしまった」級の毒です。
それはワカるだけにリアルに「痛い」毒です。
3浦級です。
人間1つの嘘をつきとおすためにはその嘘プラス「約三十の嘘」が必要になるといいますが、本書の主人公は「パジャマで学校に行ってしまった」毒を緩和するために「海パンで電車に乗る」級の「いっそう痛い」毒を考案してしまうのです。
すなわち「緩和」するために「どつぼ」にはまり、そこから抜け出そうとして「いっそうのどつぼ」にはまるのです。
そういうトラウマのある人にはオススメできません。
恥を知らない少年時代を過ごした僕などは話が進むにつれ痛くて痛くてしょうがありませんでした。
ともあれ、「毒」を覚悟で読むなら相当イケます。
ささいな「どつぼ」がプライドを介して増幅され「河内十人斬り」という犯罪史上有数の大量殺人に至った過程を「パンクロッカー兼俳優兼作家」の町田康が痛く痛ーく描いております。
(おがい)